ゆめメモ

 目が覚めるとトロッコに乗っていた。夢の国のビッグサンダーマウンテンに酷似した形のトロッコだったが、安全装置などは見当たらない。私はよく電車のことをテロコ(トロッコ)と呼ぶが、夢の中のそれは嘘偽りないトロッコだった。目の前には工場のような屋内施設が広がっており、建物中央にてボーリング作業が行われている。我々を乗せたトロッコは軋む音を立てながらゆっくりと動き出すが、小さい子供が飛び出してきたため急停車を行いながら会議室と書かれた扉の前まで進んだ。しばらく静止した後、扉が開いた瞬間にトロッコは突然動き出した。ジェットコースターのような挙動で狭い屋内を疾走するトロッコ。地面にレールがなく、時々カーブを曲がりきれず壁に激突した。私は帽子を被っていたが、あまりの勢いに帽子が飛ばされそうになってしまった。私が帽子に気を取られている間にトロッコは目的地にたどり着いたらしく、停止した。

 

 辿り着いた先は学校だった。トロッコを降りると大人達から制服に着替えるよう指示された。更衣を済ませ、体育館に向かうと見慣れた技術科の教師が学ラン姿で現れた。そこで教師の近くにいた2人の学生が教師に頭から食べられた。あまりの出来事に私含む制服の子供達は身動きが取れなくなってしまう。教師は血で汚れた口元を拭い、「いよいよ本日が卒業試験だな。君達の健闘を祈る!さあステージ裏がスタート地点だぞ!」と叫んだ。教師が学生を食べるという異常極まりない行為に気を取られていたが、中身はいつもの教師のノリで学生一同は安心した。ステージ裏に移動すると廊下には沢山の下級生の姿が見えた。卒業試験の見学、上級生の応援に来ているらしい。我々は校内にあると言われる地下の卒業試験の会場を探しに廊下を走り出した。一早く会場に着き、試験を受けたかったため階段は数段飛ばして飛び降り、廊下は自転車で爆走した。辿り着いた薄暗い給食室の手前。地下へと伸びる階段があり、給食室のおばさんが立っている。「試験は3人1組で行うんだけどあんたはラッキーだ。トップバッターだよ、あんたが3人目。」と受験票を渡された。

 

 暗い階段を降りていくと全て石でできた異様な空間が広がっていた。地下のはずなのに上から光が差し込んでいる。光は中央にある石の塔を照らしていた。間違いなく100m以上の高さがあるだろう。校内にこんな場所があったとは知らず、じっくりと周りを眺めたい気持ちもあったが兎に角試験を早く受けて合格したかったため、石の塔を囲むように出来ている階段を数段飛ばしで駆け上がった。自分は割とせっかちなのかもしれない。踊り場に辿り着くと2人の同級生の姿が見え、笑顔で手を振った。近くには石の椅子に腰掛ける人物が見える。それは小学校4〜6年生の時の担任、S先生だった。先生は頭がフランシスコザビエルのような禿げ方をしており、時折子供達から「ザビエル」と陰口を言われていたが、今日のS先生はまさにザビエルといった聖職者風の正装を纏っている。先生は「これから3人で4畳半の迷路に挑戦してもらう。制限時間は480秒。3人ともゴールしたら終了だ。」と手短にルールを説明し、我々に作戦会議の時間をくれた。扉を開くと4畳半の迷路が広がっているらしいが、そんな狭いところに迷路など作れるのだろうか。しかし先輩方の噂でこの4畳半にて行方不明になった人がいると聞いた事がある。取り敢えず我々3人ははぐれないようくっついて移動する作戦を立て、扉を開いた。辺り一面畳が広がっており、間違いなく4畳半以上の広さがある。ゴールは見えなかった。端を目指せばゴールがあるだろうと、がむしゃらに走ったがゴールは見えず、あっという間に480秒経過していた。ゴールできなかった我々は4畳半の見える薄暗い檻に入れられ、次の挑戦者を待つことになった。