ゆめめも

 通学途中、水色の壁紙の家の前で白い猫がしきりに私によじ登ってこようとするので連れて登校することにした。

 しばらく猫を抱いたまま歩いていると地下駐車場前に人だかりが出来ていた。血まみれの同級生がボロボロの車から出てきて「事故だ…事故で家族が…。」と呟いていた。今にも泣き出しそうな目をしており、思わず抱きしめたくなったが、抱いていた猫が動こうとしなかったため、ただ目を逸らす事しか出来なかった。地下駐車場の奥を見てみるとぶつかった車がもう一台。運転席を見るとこちらも乗っていたのは同級生で、ケタケタと楽しそうに笑いながら車から出て来た。今にも殴り合いが始まりそうな嫌な気配がしたので私は猫を抱いてその場から逃げた。

 走っているうちに抱いていた白い猫が溶けてきた。私は泣いてしまった。「そんなのまた飼えばいいじゃんね!気にしちょし!」と何処からか声が聞こえてくる。有料駐車場に止まっているワンボックスカーから身を乗り出したDQNだった。「お前に私の何が分かるのか、いや分かるまい。分からなくていいし、分かって欲しくない。」と思った。深い悲しみと怒りに包まれ、言い返す事すら面倒だった私は白濁液と化した猫をかき集めた。うるさかったDQNが静かになったので有料駐車場の方を見てみるとワンボックスカーは大きく歪み、中でDQN達が溶けて混ざり合っているのが見えた。終わり。

 

 夢の世界に入ろうとフラフラ田舎道を歩いていた。「夢の世界だとどうも平衡感覚がダメなんですよね〜〜ちょっとリハビリがてらお散歩させてください。」などと独り言を言いながら道路の白線の上からはみ出ぬよう歩いていた。

 暫く歩くと見知らぬ女性と、白髪の男性に出会う。私が3メートルほどの幅の川を渡ろうとボロボロの木板の上を慎重に歩くと、白髪の男性は「もう少しで向こう岸だね。」と見守ってくれた。私が川を渡り終える頃、女性はこちらに見向きもせず、ここでお店を開きましょうと両手を大きく広げた。すると先程私が渡った小川が一瞬でコンクリートの道路になり、屋台が出来上がった。

 どこからともなく外国人男性2人が現れ、テニスラケットを振り回しながら凄い剣幕で何かを伝えようとしている。言語が全く分からず、困って白髪の男性に通訳を頼むと、2人はどうやら元々ここの川でテニスをしていたらしく、敷地を奪われたことに対し憤慨しているとのこと。問題を起こした張本人の女性を呼ぶと、外国人2人の口に飴のような小さい食べ物をねじ込んだ。2人の外国人はたちまち笑顔になり、女性のお店を手伝い始めた。私が唖然とした表情で「シャブかな…」と呟くと白髪の男性は「女の子がそんな言葉使っちゃダメだよ。魔法と言いなさいな。」と諭してきた。終わり。